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宮城教育大学

子どもたちの自発的で主体的な生活のうえにある学びについて考える。

今月から始まる幼児教育・保育の無償化。それを上手く生かすにはどうしたらいいのでしょう。
保育実践の指導にもあたられている先生に、現場で起きている保護者も含む問題や幼稚園・保育園の選び方についてお話をお伺いしました。

現代社会の家族や親子関係のありようは様々です。
いろいろな事情や課題を抱えた保護者も少なくはありません。
情報発信の手段や方法・内容に工夫をしていくことが必要です。

前回の2017年4月号では子育て支援の 新制度についてお話いただきました。最近の 幼児教育・保育で気になることは何でしょうか。

 制度的には幼児教育・保育の無償化ですね。これによる保護者の意識の大きな変化として、保育や幼稚園教育は無償で提供してもらえるサービスだという、消費者的な感覚が広がってきているようです。経済的に苦しい世帯では、無償化の恩恵を十二分に受けるために、3歳児から5歳児までの3年保育に加えて、長時間保育への需要が高まっています。
 私立幼稚園などは独自のカリキュラムの教材費をプラスアルファで徴収していますが、経済的に余裕のある世帯では無償化でゆとりができたお金を充てて、もっといろいろなことをやってほしいというリクエストが強くなることが予想されます。また、降園後のお稽古事をふやしたりと、幼児期の教育をめぐる格差がますます広がるかもしれません。


先生は現場の指導助言にも当たられている わけですが、幼児教育の格差を感じますか?

 保育所は2015年4月からの子育て支援の新制度によって、待機児童解消のために設置基準を下げての量的拡大策が図られました。乳幼児の健全な生活と育ちを保証するうえで課題が多い保育施設が増えたことは否めません。また、発達障害や愛着障害、ネグレクト、心理的・身体的虐待を疑われるお子さんや経済的・精神的な課題を抱える保護者が増えているような気がします。ですから「子育ての理想像」を示して啓発しようとしても、現実は複雑で多様な様相を呈していて、一筋縄にはいかないことを痛感しています。
 宮城県に「学ぶ土台づくり」推進連絡会議という東北大学の川島隆太先生が座長の会議があります。先日の会議では幼児期における生活習慣の確立について話し合いました。「早寝・早起き・朝ごはん」という、子どもの成長にとって大切な生活習慣の確立に向けて、さらなる努力が必要な実態が再認識されました。そこで一番話題になったのがスマホです。スマホは、乳幼児期の発達への悪影響が指摘されているものの、お子さんを大人しくさせるためにスマホでYouTubeやアプリを見せてしまい、なかなかその悪循環が断ち切れないようです。なぜなら、お母さん自身もスマホに依存しているからです。
 保育所の先生方は、いろいろな事情のある家庭の子どもたちを、保護者も含めて「福祉」として受け止めています。子育てにおける家庭生活を「こうあるべき」と示してしまうと、それができない保護者を追い詰めてしまいます。現代はいい意味でも悪い意味でも多様な家族、親子関係が顕著になってきているので、いろいろな事情を抱えた保護者に、それぞれに有益でわかりやすい方法で情報発信していかなければならないと思っています。


今の幼稚園教育にはどういったものが 求められているのでしょうか。

グローバリズムの波を受けて、外国人と交流する機会が増えました。そのため、小学校でも外国語学習が教科化されました。就学前の幼児期においては、外国人と接したり、外国語によるコミュニケーションをはかったりする体験を通じて、国際化に対応するための素地を築くことが求められるようになりました。
 今回の改訂で小学校の学習指導要領と幼稚園教育要領との整合性が図られました。保育で育てる「ねらい」が「心情、意欲、態度」から小学校のそれに合わせて「資質・能力」へと書き換えられました。「資質・能力」のなかには英語だけでなく、AI(人工知能)やロボティクスなどの技術革新を推進し、そうした変化についていくための理数系・情報系の「資質・能力」が特に重視されているように思えます。


仙台はともかく、地域によって 教育内容に差が出そうです。

 地方、いわゆる田舎だからこそ、過疎による労働力不足を補うツールとしてコンピューターや機械に期待が寄せられています。それらを積極的に導入して使いこなす人材が必要だというのが国の姿勢です。平成の時代に経験してきた環境や遊びを通しての総合的な保育を踏襲しつつ、「資質・能力」を育てていく過渡期が今なのです。
 ただ、そういった学びをするうえで、子どもたちの自発的で主体的な生活が保障されているのか、つまり遊びの時間や選択肢がきちんと用意されているかが大切です。バラエティーに富んだ遊びが用意されていて、充分遊んだうえに年齢に応じた設定保育があるわけです。教育熱心な保護者さんは教えてもらうことで習得する知識や技術にばかり目がいってしまいがちです。しかし、その両方(自由遊びと設定保育)がうまく噛み合っているかどうか、幼稚園選びの時に見極めてほしいと思います。


ほかに幼稚園・保育所選びで大切なことは。

 保護者に対してどれだけチャンネルが開かれているか、つまりどれだけ保育に参加するチャンスがあるかも、園を選ぶ時にチェックしてほしいです。お父さんが参加しやすいように行事を土日に設定している園も増えています。そうした配慮の有無にも注目してみましょう。
 また、防災・減災についても備えが必要です。宮城県沖地震への警戒は不可欠であると言われています。いずれまた大きな地震が来るのです。子どもの命を守るためにどのような手だてがなされているか、保護者への連絡体制や子どもの引き渡しの段取りがどうなっているのか、気にかけてほしいと思います。こういったことは必ずしもパンフレットに明記されていません。震災が風化しかけている今だからこそ、入園説明会などの機会に、防災保育について質問してみるとよいでしょう。


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