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宮城教育大学

楽しい時間が創り出すポジティブな人間関係について考える

子どもたちはみんながみんな同じじゃありません。
けれど個性というには強すぎて、「どうしてうちの子、お友だちと上手くやっていけないのかしら」と悩むママも…。発達支援を研究する先生にお話しをうかがってきました。

子どもたちが「気になる」子どもの特性に合わせた関わり方を身に付けていくことが、将来の共生社会に繋がります。

博士課程の時にご出産されたそうですが。

 夫がこちらに転勤になったため、それに合わせて東北大学大学院の博士課程に入り子どもをふたり産みました。産休も取ったので10年くらいかかりました。今でこそ学内に保育園がありますが当時はなかったので、子どもを院生室に連れて行っていました。研究領域の関係もありますが、仲間たちが子どもをとても大事にしてくれて、ママやパパがたくさんいるような感じでした。今でも学会に連れて行くと、成長を見守ってくれているのを感じます。女性が博士を目指す時、結婚や子育てがハードルになることがありますが、私の後輩たちは「結婚して子どもを産もう!」という考え方が普通にありますから、先駆的だったのでしょうか。

先生の授業・研究について教えてください。

 授業では、幼児教育には「健康」「人間関係」「言葉」「表現」「環境」の5つの領域があり、その発達を助ける指導をするのですが、私は「人間関係」を担当しています。
 もうひとつは「幼児理解」で、これには大きくふたつあります。ひとつは子どもの姿から何に興味を持っていてどういう領域の発達を伸ばして行けばいいのかを理解すること。そこからどういう遊びや保育を提案すれば、子どもが次のステップに上がれるかを考えていきます。そうすると中には順調な育ちになかなか乗れなかったり、どこか苦手なところがある子どもがいます。その子たちが苦手なところを理解し、必要な援助をするということがもうひとつです。  研究としてはその幼児理解の根っこになる発達の基礎と、どういった保育・プログラムをやればどんな経験に繋がるのか、実際の保育の中身の検討をやっています。

先生が研究されている「気になる」子どもとはどういったお子さんでしょうか。

 知的に顕著な遅れがあるわけではないにも関わらず、クラスのなかでほかの友だちと上手くやっていけなかったり、通常の保育では保育者の指示に従わないなど、保育者がちょっと気になる行動特徴を示すようなお子さんのことです。
 仙台市のスーパーバイズ事業で保育所巡回相談をやっています。私たちが保育園を訪問して、保育者から「気になる」子どものお話しを伺い、実際のお子さんの様子を見てアドバイスしてくるものです。保育者が「漠然と気になる」のはいくつかの可能性があるので、それを整理することが必要になります。私が師事した本郷一夫先生が中心になって作ったチェックリストを使ってお子さんの行動や発達の特徴を整理すると、保育者が気になっていることの背景がわかります。認知の発達の課題から感情をコントロールできないですとか、発達はすすんでいるけれどその場面で上手くその能力を使えないなど様々なケースがありますので、そういった見方を保育者に理解していただきます。それをやりながら、そういったお子さんの能力を伸ばすのに効果的な遊びを提案しています。

そういったお子さんにはどのように接していけばいいのでしょうか。

 大学の学生たちにも、自分のクラスに「気になる」子どもが一人二人いてもそれが普通だし、一番困っているのは「気になる」子ども自身だと話しています。大切なことは、同じクラスの子どもたちがお互いの特性に合わせた関わり方を身に付けて一緒に育って行くことが、将来の共生社会に繋がるということです。「気になる」子どもというのは、対人関係に問題を持っているので、保育者だけでなくほかの子どもたちも対応が難しいと感じています。小さいうちはまだいいのですが、成長するにつれて関わろうとしない子どもが増えてくるという調査結果があります。小学校に入ると関係性はもっと複雑になっていくので、その前に柔軟にほかの子と上手く関われる力を伸ばしてあげたり、ほかの子もそういったことが苦手な子がいるのだということをわかって児童期を迎えることがとても大事だと思います。
 そのためには、友だちとしてきちんと認められるよう仲間意識を育てていくことが必要です。それはとてもシンプルで「一緒に遊んで楽しい」という経験、つまり共感や楽しみを共有する時間を与えることが保育者や親御さんに求められています。

保育所や幼稚園の先生がたも大変ですね。

 今の保育者に求められている専門性というのは本当に高いと思います。子どもたちのお世話をしているだけでなく、育ちの土台をいかに作るかという発達支援であったり、あるいは「気になる」子どもの保護者の悩みに応える保護者支援。それと昨今叫ばれている幼児教育の充実というのもあります。小学校へ向けてきちんとした学びの基礎を作るということも含め、やらなければならないことが本当に多いなと思います。

ままぱれ読者にアドバイスをお願いします。

 小学校に入る前に学びの基礎を作ることはとても大事です。でもそこで大事なのは、文字が書けるとか算数の計算ができるということではありません。知識というのは元々、それがあることによって私たちの生活が便利になるからでき上がったものです。だから一番最初に身に付けなければならないのは「便利だな」と思うことです。文字を書ければ自分の思いを書いて残したり、相手に伝えることができます。また数がわかれば、感覚的にどちらが多いではなく、はっきりさせるために数えることができます。小学校ではその便利さがわかっている子にもっと便利な使い方やルールを教えてくれます。
 子どもたちには毎日の生活のなかで「これって面白い」「不思議だな」「よくわからないけど、そういう決まりがあるんだな」という、世の中の法則性や規則性を実感として見つけて、感動して欲しいと思います。「りんご」という文字が読めることが大事なのではなく、「ちょっと甘い」「お母さんと一緒に食べて美味しかった」「風邪をひいた時に食べると元気になる」など、その言葉の後ろにどれだけたくさんのものがあるかが大事です。そういう体験をたくさんさせてあげることが、本当の意味での幼児教育だと思います。
 さきほどの「気になる」子どもとの遊びの共有と同じで、家族みんなとの楽しい思い出がたくさんあることが心の土壌になると思います。特別なことをしなくても、普段のお散歩、一冊の絵本を一緒に楽しんでいる時間があることが、お子さんが物事に取り組もうとする意欲のきっかけになっていきます。あまり頑張り過ぎなくても大丈夫ですよ(笑)。

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