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宮城教育大学

もっと知るべき日常生活にかかる医学的な知識と、
加齢に伴う病気の予防について考える

肌の老化は目に見えるけれど、血管の老化は目に見えない。
それはほぼ無症状で進行して、突然病気という形で現れる…。
健康診断で必ず測る血圧の研究をしている先生に、食生活や過ごし方についてお話をうかがってきました。

ママさんはちょっと体調が悪くても我慢しがちです。
家族のためにも、もっと自分の健康にも注意して欲しいですね。

先生の授業・研究について教えてください。

 大学では『人間と健康』という、将来先生になる学生たちに医学的な知識を持ってもらう講義などを担当しています。彼らが教える子どもたちは、家庭と学校が主な生活場所になるので、子どもたちが体調を崩した時などどう対応すればいいかある程度知っておくことは、非常に大事なことだと思います。
 高血圧や動脈硬化の研究をやっています。高血圧は病気のなかでも発生頻度が高く、高齢者ですと半分~2/3程度の人が高血圧です。総合内科医として過ごした岩手や宮城県北の病院には、脳卒中や心筋梗塞で搬送されてくる人が多く、半身まひや意識障害になる患者さんを診てきました。病気になった人を治療することももちろん大事ですが、それを防ぐために高血圧予防をしていくことが大事なんだと強く思いました。
 日本人の死因の半分は癌と言われていますが、実際には動脈硬化によるものが一番多いんです。それを引き起こす原因の一番が高血圧です。人の身体の中で最も太い血管は、心臓から拍出されたすべての血液を運ぶ大動脈ですが、私はその大動脈の血圧、血流、そして硬さを研究しています。血圧は全身にあるわけですが、心臓から出て最初の血管の圧力が、脳や心臓、腎臓に影響を及ぼします。またこの大動脈が最初に硬くなります。本来ゴムのような性質を持っているのですが、最も伸び縮みの激しい場所なので、年数が経つとゴムの性質が失われ動脈硬化を起こすと言われています。

「保健管理センター」での検診などを通して、学生さんたち若い方々の健康で気になることを教えてください。

 ここは大学で学んでいる学部学生、大学院生、教職員の健康管理をしているところです。検診や健康相談をして、学生生活が健全に送れるよう支援しています。大学に入って親元を離れて一人暮らしを始めると、食生活が変わったり、いろいろ悩みも出てきます。心身は切り離せませんので、メンタル面が最初に身体症状で出たり、またその逆もあるので注意していく必要があります。
 血管の話に戻りますが、通常は年齢とともに血管が老化していくのですが、これが極端に早い人たちがいます。「人は血管とともに老いる」という言葉がありますが、血管が老化することによって臓器が老化したり、実年齢よりも年を取って見える人もいます。血管が老化して、それまで無症状だったのが60~70歳代くらいに突然脳卒中や心筋梗塞が起こるのですが、10~20歳代から早期血管老化が始まっていることもあります。ですから学生さんにもその重要性を知ってもらい、早期に検査すれば急激な進み方を修正することが可能だと考えています。血管の老化も遅らせることはできても、戻すことはできません。そのために予防していくことが必要です。

小さいお子さんとずっと家にいるママは、健康診断を受ける機会も減ると思うのですが、ママが自分の健康で気をつけるべきことは?

 女性特有のものとしては、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病ですね。あとは癌のなかでも子宮頸がんや乳がんがありますが、日本ではその検診受診率が非常に低いのです。特に子宮頸がんは欧米では7~8割なのが、日本では3~4割程度です。子宮頸がん検診は20歳から受けられますし、自治体でも支援していますので、定期的に受けていただきたいですね。どんな病気もそうですが、早期発見が大切です。
 またお子さんにかかりきりになっていると、ストレスを感じることもあるかと思います。そういった時にはあまり無理せず、サポートしてくれる人を見つけたり、自分のペースで過ごすことが大切です。ママさんたちは自分の体調がちょっと悪くても、我慢することが多いのではないかと思いますが、健康診断をきちんと受けるなど、家族のためにも自分の健康にも注意して過ごして欲しいですね。

宮城県は「メタボ県」と言われています。家庭で出来る生活習慣病予防について教えてください。

 メタボリック症候群は、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上に加え、高脂血症、高血糖、高血圧のうち2つ以上に該当するとそう診断されます。宮城県は全国第3位なんです。さらに平成27年度の肥満健康児調査で小学校6年生男子と幼稚園女子がワースト1位でした。小児科の先生によると、この時点からメタボや動脈硬化が出始めている可能性があるそうです。一度身についた食習慣を変えるのは大変ですから、小さい頃からきちんとした食生活を心がけていただければと思います。
 あとはやはり塩分です。高血圧学会によると1日6gの摂取が目安です。減塩醤油などを使って1~2週間過ごすと元の醤油がとても塩辛く感じますので、トライしてみてはいかがでしょうか。料理を作るママさんたちは、家族の健康を見直すうえでも大きな役割を担っていますので、気をつけていただければと思います。
 メタボ予防のうえでは「動く」ということも大切です。体重を減らしたりカロリーを燃やすためもありますが、筋肉量が大事なのです。今、医学では「サルコペニア」ということが話題になっており、これは加齢に伴って筋肉量が減少することです。筋肉もある種の臓器なので、そこでエネルギーを蓄えたり燃やしたりしており、それが少なくなると高血圧や糖尿病になったりします。ですから若いうちから筋肉を保持していくよう、無理のない程度に身体を動かせればいいですね。

冬に向けて、ままぱれ読者にアドバイスをお願いします。

 冬場になると風邪やインフルエンザ、ノロウィルスが流行りますが、うがいや手洗いをしてかからないようにすることはもちろん大切です。一方で、ほかの人にうつさないようにするのも非常に大切ですね。インフルエンザは、それにかかった人の咳、くしゃみ、つばなどで飛沫感染しますから、最近よく言われる「咳エチケット」を意識して、必要に応じてマスクをしていただくようお願いしたいです。
 ノロウィルスは冬場の食中毒の代表的なものですが、お子さんやお年寄りがかかると重症化することがあります。よく調理した人が原因だと言われますが、不潔な手で触ったドアノブからうつったり、吐しゃ物を放っておくと、乾燥したものからウィルスが飛んで空気感染することもあります。万一お子さんが吐いてしまった場合も、片付けて塩素系の漂白剤などで消毒してください。感染が広まらないようみんなで心がけていくことが大切だと思います。

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